不去来庵
いつも左官にお任せの漆喰ですが、先日、え~?っていう仕上を見てきました。
先日お誘いを受け静岡市葵区の両替町にある、両替町にありました不去来庵(ふきょらいあん)というお堂を見学させて頂きました。
大正4年に完成したこのお堂は、静岡大火や第二次世界大戦の戦火にも絶えた静岡市でも数少ない登録有形文化財です。
戦前の建物で焼失せず残っているのは、市役所本館・県庁本館・静銀本店が有名どころですね。
不去来庵は伊豆屋伝八のご先祖様が築いたお堂です。
伊豆屋伝八の11代目がお堂の説明をしてくださいました。
お堂は、間口4間半×奥行5間半の土蔵造り。
躯体の材はほとんどがケヤキです。
壁や扉が厚さ30cmの漆喰で出来ています。
厚さ30cmの扉はとにかく重くて簡単には動きません。
絶対に熱は伝わらないし、燃えることもないだろうと思いました。
回廊と外部の腰壁は伊豆石が積まれています。
第二次世界大戦で焼夷弾2発がお堂に落ちた際に、伊豆石からタールみたいなものが溶け出した跡が凄い熱だったことを想像させます。
自分は歴史というものにあまり興味がなく、過去のことダシっと私の人生では歴史をスルーしてきました。
ここでは私は場違いかな?なんてしばらくはそこでボケ~でした。
木造建築に関しては過去を知らなくてはいけないので、古代から木と人が生きていくうえで密接に生活にかかわってきたことは軽く理解しています。
ほとんど安藤先生に教わったことですけど。
で、唯一興味を持ったものは壁
お堂に入ってすぐに壁に違和感を感じたので、近寄ってみると漆喰の壁がクリヤー塗装した様にピカピカに光っています。
なんだろ・・・・と、眺めていると11代目の奥様からご説明があり、素手で左官さんがずっと磨いて仕上げたそうです。
ネットで検索したら、結構左官の皆さん素手で磨いていますね。
手、ガサガサにならないのかな?
こんな仕上げ、全く知りませんでした。
住宅でやったらペンキですか~って言われそうですが、次のお宅で勝手に磨いてみます。
ただ、漆喰のクールなサラっとした表情がなくなってしまうのが、夏は暑苦しく感じるだろうなと、いま思いました。